動悸・息苦しい・ドキドキする
動悸・息苦しい・ドキドキする
突然の動悸や息苦しさ、不快感に悩ませられていませんか?
これは、不安やストレスに関連して出現しやすい身体反応です。私たちの脳には、不安やストレスを感じた時に対応する役割として上行賦活系(青斑核など)という経路があります。そこに強いストレスが入力されると身体は危険に対応すべく心拍数を増やし、体をこわばらせ、血圧を上げて危機に備えます。いわば「緊張モード」になってしまうのです。この仕組みそのものは正常な機能であるため身体の問題と思って救急や内科を受診しても特に問題を指摘されません。そのため、動悸や息苦しさ・胸苦しさについて内科に相談した後でメンタル関連を受診する方をよく見かけます。手順としては、先に身体面の病気を除外する必要があるためそれで全く問題ありません。その後が精神科・心療内科・漢方内科の出番です。
先にお伝えしたように、動悸や息苦しさそのものは体の仕組みとしては正常な反応ですが、その原因はやはり様々です。主には、脳の中核で不安が誤作動的に強く発生するもの、強いストレス入力の結果として発生するもの、不安がそれほど高くなくても身体的なリアクションが強く出やすい体質、月経・更年期に関連するもの、などがあります。
代表的な病気はパニック症ですが、単発のパニック発作はパニック症以外の不安症にもみられますし、ストレス反応、うつ病などでも出現することがあるので、診断には注意が必要です。また、患者さん自身がパニック発作と思っている状態が実はパニック発作の診断基準を満たしていないこともあるため、自己診断は禁物です。
しかし、ご安心ください。普段から治療をしている身としては、「動悸・息苦しさ」などの困り事は比較的対応しやすい印象を持ちます。もちろん診断・治療が易しいという意味ではありませんが、しっかり問診して仮説・検証を行うことでその人に合った治療をみつけられることが多いです。そう実感できる理由としては、漢方の体系的な技術と西洋医学的な治療のどちらも役に立ちやすい領域だからです。漢方が得意とする心身のバランスを整える視点が有効なのか、それとも脳の不安中核の誤作動なのかを考えて日々診察しております。お困りの方は気楽にご相談ください。